本当に抜かなければいけないのでしょうか?

■秋田さきがけコミュニティーマガジン「Kyo郷」掲載/2008年 VOL.74

最近の歯科治療では、残せる歯も即座に抜いてしまって、インプラントにしたほうがいいですよ、という傾向があるようです。本当にそれでいいのでしょうか?私は、特に根っこの治療(根管治療)の専門科として「歯を残す・歯を救う」という立場をとっていますので、抜かなくて済む歯まで抜いてしまうのは、とてもおかしなことだと思っています。
本来は、歯周治療や根管治療をしっかりとやるべきなのです。

■欠損部に人工歯根(インプラント)
私たちは、患者さんの歯の欠損した部分に合わない義歯が入っていたり、まったくかめなかったりする苦しみや見栄えの悪さ、入れ歯を入れるとバネのかかった歯が早期に喪失してしまう、というような現実に対して、何とかしてあげられないかと考えた末、インプラント治療を始めました。 そして、残せる歯は全身全霊をこめて治療してきました。
しかしいまや、昨今の医療費削減政策の問題なのか、急激にインプラント療法が歯科界にはやりだし、さらに、ここぞとばかりにインプラント販売企業が強力な売り込みを図っています。
その結果、現在はインプラント優先主義となっているのです。

■歴史は繰り返す
歯科医師の務めとしては、適切な治療をすれば抜かずに済む歯ならば、基本的に、全力を尽くして残すべきではないでしょうか? 一方で、歯にタテにひびが入ったり割れたりしている場合は、確実に抜歯ですが、私が言いたいのは、そうした抜歯したケースではない歯まで抜かれることがあるということです。
実は、この風潮は昔もあったことの繰り返しなのです。歴史的に昭和50年代から、抜いてブリッジや義歯へという傾向が顕著になり、問題となりましたが、それが、現代はインプラントに置きかわったといえるでしょう。

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[ 本当に抜歯が必要なケース ]

  • 歯の根っこが3分の1以下しか残らない場合
  • 歯の根っこにひびが入っていたり、割れている場合
  • 重症の歯周病の場合
  • 親知らずの歯が痛む場合 など

■進歩した根っこの治療
私は、インプラント実践家ですが、抜かなくてもよい歯まで抜くことには、賛成いたしかねます。根っこの治療については、治療用実体顕微鏡(マイクロスコープ)を使用することで、いままで治すことの難しかった歯も治療できるようになってきているのです。
抜歯を告知されてお悩みの方にとっては、朗報となるかもしれません。

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写真左:顕微鏡(マイクロスコープ)を使用した根っこの治療
写真右:明視拡大により、勘と経験の手探り治療から、確実に根っこの治療ができるようになりました。さらに、顕微鏡を使うことで、外科的根っこの治療(マイクロサージェリー)で、治癒する割合が格段に向上しました。

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